研究課題/領域番号 |
16K20212
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
平池 春子 帝京大学, 国際教育研究所, 講師 (30771258)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 妊娠関連性乳癌 / 子宮体癌 / 六君子湯 / SIRT1 / SIRT6 |
研究実績の概要 |
PABC(妊娠関連乳癌)における分子生物学的機構の解明として、我々はPABC組織が胎児・胎盤に転移したという報告がこれまでにないことに着目し、胎盤が乳癌細胞を排除するメカニズムが存在するという推測のもと研究系を立ち上げている。 in vitroの系として胎盤絨毛組織から胎盤の初代培養系を確立することに着手している。胎盤から得られた絨毛細胞を培養乳癌細胞と共培養することでPABC環境の模倣を行い、乳癌細胞の浸潤・移動能・血管形成能を検討するための基盤を確立しつつある。共培養に使用する乳癌細胞は、MCF-7, T47D, MDA-MB-231などエストロゲン受容体αの有無による分類をしホルモン依存性の有無による差異を見出すことも目標である。実際の臨床において得られたPABC組織において生物学的サブタイピングとSIRT1およびDBC1の発現状態を調べ、PABCの予後との相関について検討するにあたり、当院でこれまで手術を行った18症例につきサンプルを集めた。今後免疫組織化学染色法などを用いて検討を進める予定である。 また、PABCの研究以外に、子宮体癌の細胞株であるKLE、Hec1bに対する六君子湯の働きについて、MTTアッセイを行い、細胞抑制能を調べ、また、SIRT1やSIRT6の発現の変化を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
乳癌組織を検討するための倫理申請の進行が遅く、予定より遅れている。そのため、PABCの検討以外にも、子宮体癌培養細胞株を用いた検討を同時におこなうことにより、ホルモン依存性腫瘍の新規知見を得る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
まずはPABCの免疫染色をするための倫理申請を早急に終え、当院病理学講座と連携して速やかに実行する。同時に、すでに倫理申請が済んでいる胎盤培養については、難易度が高いため、何度も繰り返し行い、手技を確立した上で、さらなる検討に入ることとする。 子宮体癌と六君子湯の関係については、細胞増殖抑制傾向があることはすでに判明しているため、今後はqPCRやELIZAを用いてSIRT1やSIRT6の発現にどのように影響するかを調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旧年度は本申請者が研究を再開してから間がなく実験系の立ち上げがうまくいかなかったこと、乳癌検体を使用する倫理申請の進捗が思わしくなく、胎盤初代培養系はコンタミネーションなどトラブルが頻発しており手技の習得が捗っていないためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、精力的に実験を進めるため、昨年度の予算も使用する予定である。
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