研究課題
子宮体癌は婦人科悪性腫瘍の中で最も発症頻度が高く、近年の社会傾向から考えても今後さらなる罹患頻度の上昇が危惧される。本研究は、近年II型糖尿病治療標的として近年注目されているヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アナログを用いて、子宮体癌細胞株に対する生理的影響と、GLP-1受容体の子宮体癌における病態的意義を検討した。1)ヒト子宮体癌培養細胞株Ishikawaおよび子宮体癌患者から得られた病理組織において、GLP-1受容体が発現していることを明らかにした。GLP-1受容体アゴニストであるリラグルチドを用いてIshikawa細胞に及ぼす影響を検討したところ、濃度依存的に細胞増殖が抑制され、コロニーフォーメションアッセイにおいても生存コロニー数の減少を同様に認めた。2)細胞増殖を抑制するメカニズムを追求したところ、リラグルチドはAMPKリン酸化を促進し、オートファジーを誘導するため、結果として細胞死をもたらすことをフローサイトメトリー法にて示した。3)子宮体癌検体を用いた検討により、GLP-1受容体発現はホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)発現と相関し、GLP-1受容体が多くみられる場合無増悪進展期間が延長することが判明した。以上の研究結果から、子宮体癌細胞株に対するリラグルチドの抗腫瘍効果が証明された。リラグルチドは糖尿病またはインスリン抵抗性があるような子宮体癌症例に対するアジュバントとしての臨床応用が期待される。
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