研究実績の概要 |
通常エフェクタータンパクであるYAPはHippoシグナルにより核移行が抑制されている。アクチンの重合化によりHippoシグナルを抑制すると、YAPが核内へ移行しCCN成長因子などの産生を促すことで卵胞発育が促進される。本年度は最も有用なHippoシグナル抑制剤の探索を目的として、申請者らがすでにin vitroにおいてHippoシグナル抑制による卵胞発育促進作用を報告したJASPとS1P (Yuan, Sato et al., FASEBJ. 2015)のほかに、YAPの核移行を促進するという報告のあるリゾホスファチジン酸(LPA)やトロンビンのHippoシグナル抑制の証明と卵胞発育促進効果の有無について評価する。 しかしながら本年度は当学の動物施設が稼働していなかった為動物実験が出来なかった。 その為in vivoにおける検証を行うことが出来なかった。そこで動物実験ではなくin vitroにおける検証を行った。ヒト顆粒膜細胞株にLPAとトロンビンを添加した培養液で培養したのち、Hippoシグナルが抑制されるかについて分子生物学的に証明した。薬剤処理後の細胞を経時的に回収し、①リアルタイムPCR法およびウェスタンブロッティング法を用いてCCN成長因子の発現変化、②免疫染色によるYAPの核内移行、③ウェスタンブロッテイングによりYAP/pYAPの発現比を比べて発現変動について調べた。コントロールは非処理群とした。リアルタイムPCRにおいてHippoシグナルの下流マーカーであるCCN成長因子の発現が増加することを確認した。また、YAPの核内移行についても確認することが出来た。
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