研究課題/領域番号 |
16K20218
|
研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
藤岡 仁美 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (50410064)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | GnRH / ストレス / 視床下部性性腺機能低下 |
研究実績の概要 |
機能性視床下部性性腺機能低下はストレスと関連があることが知られている。研究代表者は先行研究で、感染ストレス負荷によりLHサージ状分泌抑制と並行して終板脈絡器官マクロファージ(MΦ)の一部で、Interleukin-1β (IL-1β) の発現が増加することを明らかにした。本研究はこの結果を更に発展させ、「末梢ストレスにより活性化した終板器官MΦが、IL-1βを介してGnRHニューロン興奮を抑制し、その結果LHサージ状分泌を抑制する」との仮設を立てこれを検証することを目的とした。 平成29年度は、IL-1βの視床下部での作用点を検討するため、その受容体であるIL-1 receptor 1 (IL1R1)およびIL-1の細胞内シグナルに関与するIL-1 receptor accessory protein (IL1RAP) の分布を二重蛍光染色法を用いて免疫組織化学的に検討した。その結果、IL1R1およびIL1RAP免疫陽性シグナルは、GnRHニューロン細胞体の存在する視床下部視索前野 (POA)を含む領域で観察されたが、IL1R1およびIL1RAP免疫陽性シグナルはGnRH免疫陽性細胞では観察されなかった。この結果は、IL-1βがGnRHニューロンに直接ではなく、他の細胞を介して間接的に作用していることを示唆するものである。しかし、この結果については、Control条件下ではGnRHニューロンでのIL1R1の発現が低く検出できなかった可能性が考えられるため、lipopolysaccharide(LPS)投与ラットのサンプルを用いて再検討を行う予定である。また、抗体の非特異反応の可能性を考慮しin situ hybridizationでIL1R1 mRNAの分布を検討し、免疫染色と同様の結果が得られるかを現在検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者所属施設が保有する実験動物管理施設の空調が経年劣化により故障し、その修理のため、おおよそ3ヶ月に渡り同施設が閉鎖となったことにより、この期間、手術処置を伴う動物実験が出来なかったことが研究の進捗状況に影響した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成28年度および平成29年度の研究成果をふまえ、IL1R1のPOAでの分布を免疫染色およびin situ hybridizationで引き続き検討を行う予定である。また、Toll-like受容体4アンタゴニストの終板脈絡器官局所投与実験を行い終版脈絡器官MΦのLHサージ状分泌抑制への関与へのTLR4シグナルの関与を検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は計画していた終板脈絡器官のMΦにおけるTLR4シグナルの関与を検討するための試薬および脳室内投与用のガイドカニューラ等の購入費を計上していたが、本学動物施設閉鎖の影響もあり、本年度は免疫組織化学およびin situ hybridization等、組織・形態的な研究を主に行った。そのため、本年度計画していた購入費の一部が次年度に繰り越し、次年度使用額が生じた。
|