研究課題/領域番号 |
16K20222
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤原 圭志 北海道大学, 大学院医学研究院, 助教 (70600146)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 平衡リハビリテーション / 末梢前庭障害 / 前庭動眼反射 / 滑動性眼球運動 / video Head Impulse Test |
研究実績の概要 |
慢性期の末梢前庭障害の治療において薬物治療のエビデンスは乏しく、平衡リハビリテーションの重要性が近年提唱されている。身体の平衡覚は、前庭覚、視覚、深部知覚の3つの平衡感覚情報が入力され、小脳・脳幹といった中枢で統合されることにより保たれており、これら3つの情報の協調が重要となる。特に、前庭覚と視覚は頭部回転時の前庭動眼反射(VOR)に代表されるように密接な関連があり、VORが十分に働かないことで頭部運動時のふらつきが誘発される。本研究は前庭系と眼球運動の相互作用を利用した新しい平衡リハビリテーションを開発することを最終目標としている。 平成29年度は、実際にvideo Head Impulse Test(vHIT)を末梢前庭障害患者に施行し、そのデータ集積を行った。従来の半規管機能検査としてカロリックテストが用いられてきたが、水平半規管のみの評価であった。vHITを用いることで、カロリックテストでは評価できなかった垂直半規管機能を評価し、その低下が検出可能であることを確認した。特に、聴神経腫瘍症例に着目し、垂直半規管障害の頻度および腫瘍径や罹病期間、難聴の程度等のパラメーターとの相関を検討した。前半規管は後半規管に比べ、異常が検出される頻度は低く、半規管の機能低下は難聴の程度と有意な相関を認めた。また、vHITを同一症例に複数回施行し、半規管機能の経時的変化の観察を行っている。平成30年度は、視覚刺激と回転による前庭刺激を組み合わせた新しい平衡リハビリテーションにも取り組んでいく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
末梢前庭障害患者におけるvHITのデータは徐々に集積できているが、健常者の眼球運動記録がまた行えていない。ボランティアの募集を行い、データの集積を行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、末梢前庭障害患者におけるvHITのデータ集積を行うとともに、眼球運動との相互作用を利用した平衡リハビリテーションを行い、その前後において、半規管機能評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該財源にて購入予定であった高額機器を別財源で購入でき、予定よりも支出額が少なくなっている。研究成果発表のための国際学会参加や論文作成のための費用に充てる予定である。
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