研究課題
進行頭頸部癌に対する化学放射線治療で発生する口腔咽頭粘膜炎は、しばしば重度の嚥下障害をもたらし患者のQOLを低下させる。 粘膜炎緩和法の開発は急務の課題であるが、これまでに有効な治療法は報告されていない。そこで、本研究では新たな視点として酸化 ストレス防御に働くKeap1-Nrf2系に注目している。粘膜炎の発症には活性酸素種の関与が知られており、Nrf2活性化は粘膜炎保護に有 効と考え着想に至った。Nrf2誘導剤はすでに発がん予防などの効果が期待され臨床応用が進められており、容易に臨床応用が可能にな ると期待される。本研究はNrf2誘導剤による放射線粘膜炎の緩和効果を実証し、臨床応用につなげることが本研究の目的である。研究の手順としては、Nrf2誘導剤スルフォラファンによる、舌におけるNrf2活性化の確認(野生型マウスおよびNrf2欠失マウスに、 スルフォラファンまたは蒸留水を経口的に投与し、舌におけるNrf2タンパク質量をウエスタンブロットで評価する。また、Nrf2の転写 活性化を標的遺伝子群の定量RT-PCRで評価する)および非担癌状態のマウスにおける、Nrf2誘導剤スルフォラファンによる放射線粘膜 炎の緩和効果の検討(野生型マウスの頭頸部に、放射線を照射し舌の粘膜炎の評価を病理学的に行う。研究に適当な粘膜炎が出現する 放射線量を6Gy×5日間程度から増減し決定する。)である。現在、繁殖した野生型マウスとNrf2欠失マウスに対し、スルフォラファンによるNrf2活性化を検証するため、サンプルを集めて結果を検討中である。また、放射線粘膜炎に関しても、条件ごとのサンプルを集めている。
2: おおむね順調に進展している
スルフォラファンによるNrf2活性化や放射線粘膜炎の条件検討がすすんでおり、おおむね順調である。
条件検討とサンプル回収をすすめて解析を行う予定。
(理由)研究はおおむね順調にすすんでいるが、研究室にある試薬などを使用しているため、現状では予算が残っている。(使用計画)研究の進行に伴い当初計画どおりの予算が必要になるみこみである。
すべて 2018
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American journal of otolaryngology
巻: 39 ページ: 77~81
https://doi.org/10.1016/j.amjoto.2018.01.008
European Archives of Oto-Rhino-Laryngology
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