研究課題/領域番号 |
16K20225
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
鈴木 祐輔 山形大学, 医学部, 助教 (50466629)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性炎症 / D-アミノ酸 / 声帯ポリープ |
研究実績の概要 |
D-アミノ酸、特に加齢・自然放射線や活性酸素などのストレスの影響により生じると考えられているD-Aspの耳鼻咽喉科領域の組織における発現、疾病との関連の報告は皆無である。昨年度までの研究では、難治性易再発性炎症疾患である好酸球性副鼻腔炎の鼻ポリープに着目し、好酸球性副鼻腔炎および非好酸球性副鼻腔炎患者の鼻ポリープ組織を用い、D-アミノ酸免疫組織化学染色を施行した。好酸球性副鼻腔炎群と非好酸球性副鼻腔炎群でD-アミノ酸の発現パターンに大きな差異は認められなかったが、間質内への好酸球浸潤が多い症例では、D-アミノ酸が多く発現している傾向を確認した。本年度は炎症の程度や好酸球浸潤の程度なども検討項目に加える必要があると考えられたため、D-アミノ酸染色とともに、好酸球マーカーであるECPやMBPなどの染色や解析も加え、現在検討中である。 また、声帯ポリープなどの喉頭疾患について、D-アミノ酸発現機序との関連を明らかにするために、炎症性ポリープと声帯結節、声帯嚢胞、喉頭腫瘍(乳頭腫、癌腫)などにおけるD-Asp発現様式を比較検討した。D-Aspは細胞増殖や分化と関連している可能性があるという方向もあり、分化増殖能以上をきたしている癌腫との比較は非常に興味深いと考えられた。声帯組織における正常呼吸上皮、重層扁平上皮、癌腫(扁平上皮癌)、乳頭腫、声帯結節、声帯嚢胞、声帯ポリープなどの様々な病変におけるD-アミノ酸発現を免疫組織化学にて評価を行うため、免疫染色を現在施行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
勤務地の人員異動が重なったため、研究者のその他の業務が多忙となり当初の計画より遅延が生じた。 また、現在行っているD-アミノ酸局在解析および機能解析に用いる耳鼻咽喉科領域疾患、特に様々な種類の喉頭疾患の検体数が十分に揃わず、想定以上に免疫染色に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
耳鼻咽喉科領域の喉頭疾患についてのD-アミノ酸発現の染色パターンの解析を行う。また、比較対照として肉芽腫や乳頭腫、癌腫や正常呼吸上皮、扁平上皮に対してもD-アミノ酸免疫組織化学染色を行う。 また、IgA腎症における口蓋扁桃組織や、好酸球性および非好酸球性副鼻腔炎症例における鼻ポリープ組織、真珠腫性中耳炎症例における中耳真珠腫組織の蛋白抽出を行い、D-アミノ酸蛋白の定量解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在行っている耳鼻咽喉科領域疾患におけるD-アミノ酸局在解析および機能解析に用いる検体数が十分に揃わず、想定以上に時間を要したため、予定していた免疫組織化学や蛋白解析が行えず、試薬や抽出キット、解析ソフトなどの費用が含まれなかったため次年度使用学が生じた。 今年度は試薬や抽出キットなどの消耗品や解析ソフト、論文投稿などの費用を多く要する見込みである。
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