研究課題/領域番号 |
16K20226
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
千葉 真人 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (80594324)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Muse細胞 / 前庭有毛細胞 / 再生 |
研究実績の概要 |
モルモットにおいて前庭有毛細胞を傷害する方法として、アミノグリコシド系薬剤の投与があげられる。投与薬剤はゲンタマイシンやアミカシンなどの種類があり、投与経路としては腹腔内投与や鼓室内投与がある。われわれはモルモット鼓室内にゲンタマイシン(40 ㎎/ml)を投与した後に暴露時間を2時間、6時間とすることで前庭有毛細胞の消失率を約50%、80%と調節することに成功していたが、さらに投与方法を改良することで、2時間障害群ではI型有毛細胞のみ消失させたモデルを作成することが可能であった。6時間群ではI 形有毛細胞、II型有毛細胞ともに障害されたモデルを作成することができており、MUSE細胞の生着、分化に適切な障害モデルの選択肢が増えたと考えられる。また、ゲンタマイシンの腹腔内投与とも比較し安定した障害と、十分な体重増加量、死亡個体がないことなど 優れた点を多く確認できた。いずれも組織障害は有毛細胞のみであり支持細胞などの周辺環境の組織形態は保たれていることを確認した。死亡率も低く安定して障害モデルを作成することが前回までに可能となっている。 これらのモデルにMUSE細胞を投与し、2週間の時点で移植細胞が前庭組織内に生着していることを確認しが、一方で前庭感覚上皮への生着は見られておらず、有毛細胞マーカーの発現も見られていない。投与細胞数を変更したがこの点に関して改善がみられなかったため、今後、障害から細胞投与までの期間を短縮し、遊走因子の高いと考えられる時期での投与をすることで改善がないか確認していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MUSE細胞を投与後2週間の時点では投与細胞の生着は確認できたものの、これ以降時期にはの細胞の生着の確認ができておらず、改良 を要すると考えられる。 また、2週間の時点で生着した細胞も有毛細胞マーカーや支持細胞マーカーを確認することができなかった。細胞数などの条件を変更しても同様の結果である
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今後の研究の推進方策 |
生着の問題や分化の問題を解決するために 1. 外側半規管経由でのMuse細胞を投与する方法を検討する。 2. 傷害直前にMuse細胞を移植して形態および機能の評価を行う。 3.Muse細胞から有毛細胞前駆細胞を作成し、それをモルモット蝸牛ないしは外側半規管内へ移植する。 4.モルモットMuse細胞の単離を行い投与細胞とする。 ということを行う予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
今期の使用額が当初の見込みを下回り、次期の研究発表に対して重点的に使用を行っていく方針である。
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