頭頸部扁平上皮癌におけるregulatory T細胞の役割は不明であったが、CD45RAやFoxp3の発現により機能的に分類されることが最近報告されてきた。特にCD45RA-Foxp3high Treg は、CD4+CD25-T cellsに対し、免疫抑制性に働くことが報告されている。今回、regulatory T細胞のサブセットの割合を頭頸部癌と良性腫瘍症例で比較し、また、サブセットの割合と腫瘍進展度、予後、臨床経過の関係を調査したところ、CD4+Foxp3+Tregは、頭頸部癌と良性腫瘍の間で割合は変わらなかったが、CD45RA-Foxp3high Tregの割合は進行期頭頚部癌で増加していることが確認された。CD45RA-Foxp3high Tregの割合と予後には負の相関が認められ、治療前にCD45RA-Foxp3high Tregの割合が少ない症例の臨床経過は良好であり、また、侵襲的な治療を施行するとCD45RA-Foxp3high Tregの数が減ることが明らかになった。CD45RA-Foxp3high Tregには、腫瘍細胞や腫瘍浸潤マクロファージから産生されるCCL22の受容体であるCCR4が多く発現しており、CD45RA-Foxp3high Tregは腫瘍環境へとリクルートされる。 CD45RA-Foxp3high Tregは、腫瘍環境でCD3+T cellを抑制することで、抗腫瘍免疫を抑制していることが推測される結果であり、治療効果や再発、予後の視標となる腫瘍マーカーとして有用である可能性が示唆された。
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