研究実績の概要 |
本研究では腺様嚢胞癌の神経周囲浸潤メカニズムを多方面から解析している。 ACCにおけるPD-L1の発現評価を主に行い、ACCの約20%で発現し、局所予後不良という結果であった。 ACCにおける融合遺伝子の検索、および遺伝子発現解析を行った。代表的な10例において、Illumina RNA Pan-cancer Panelを使用してRNAseqを施行した。1385のがん遺伝子の変異融合をターゲットとし、Sequence Capture法にて解析を行った。特に先行研究でNGF/TrkA系の過剰発現が明らかになっていたことにより、NGF/TrkAをコードするNTRKの融合遺伝子の発現を期待した。結果としては、10例中6例でMYB-NFIB融合遺伝同定が明らかになり、残念ながらその他の融合遺伝子は検出されなかった。過去にFISHによる、MYB-NFIB融合遺伝子は検討しており、RNASeqの結果とおおむね矛盾しない結果であった。また、同時にRNASeqの結果から、変異解析も行った。Depth 100以上、Frequency5%以上でかつCOSMICに登録されている変異はSP1, CEP57, DST, FGFR2, KANK1, EPCAM, NOTCH1であった。 さらに他がんにおいて、神経周囲浸潤との関与が指摘されている、Garanin/GALR-2系、VEGF/VEGFR-2系の関与については、ACCでは関連性を認めなかった。
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