研究実績の概要 |
研究初年度は、頭頸部癌症例におけるリキッドバイオプシー(ctDNA, CTC)からのDNAを使ってエピジェネティクス解析を行う準備を行っている。最初のプレリミナリ-な実験として健常人からの血液サンプルから血漿を分離し、そこに含まれているctDNAを回収しDNA量を計測した。2名の正常人では、一般的な吸光度計でDNAは計測できなかったがPCRではACTBによる反応で1名でポジティブな反応を得ることができた。 研究2年度は、中咽頭癌患者のリキッドバイオプシーサンプルを5名の患者さんから収集した。低侵襲かつリアルタイムに個々の癌をモニタリングすることが可能であり、また癌の時空間的なheterogeneity(不均一性)を克服する次世代の分子診断法として今後重要になると考え、臨床応用に向けての研究を行う。まず、DNA収集量を計測した。治療前のDNA量と比べ治療後は各症例ともDNA量は減少していた。一部の症例では、治療後3か月でDNA量が再増加する症例があった。臨床的には再発は認めておらず、この結果が何を意味しているのか今後の解析が待たれる。最終的に、リキッドバイオプシによるメチル化解析が、癌の時空間的な不均一性を克服する次世代の分子診断法として有用であるのか明らかにしていきたい。また、我々の最近のデーターでは、E-cadherin, TAC1, GALR1, COL1A2遺伝子の高頻度メチル化症例の早期の再発・遠隔転移を示した。これらのデーターを使ってリキッドバイオプシー(ctDNA, CTC)からの微小DNAのメチル化度を検討する。次世代シークエンサーを使ったメチル化解析を行うに十分なDNAを回収できた症例に関しては、まだ報告の少ない網羅的なメチル化解析も試みたいと考えている。
|