研究実績の概要 |
研究初年度は、頭頸部癌症例におけるリキッドバイオプシー(ctDNA, CTC)からのDNAを使ってエピジェネティクス解析を行う準備を行っている。最初のプレリミナリ-な実験として健常人からの血液サンプルから血漿を分離し、そこに含まれているctDNAを回収しDNA量を計測した。2名の正常人では、一般的な吸光度計でDNAは計測できなかったがPCRではACTBによる反応で1名でポジティブな反応を得ることができた。研究2年度は、HPV関連中咽頭癌患者のリキッドバイオプシーサンプルを5名の患者さんから収集した。低侵襲かつリアルタイムに個々の癌をモニタリングすることが可能であり、また癌の時空間的なheterogeneity(不均一性)を克服する次世代の分子診断法として今後重要になると考え、臨床応用に向けての研究を行った。 最終年は、HPV関連中咽頭癌に特異的なメチル化遺伝子の抽出を行った。次世代シークエンサーを使って候補8遺伝子を抽出しリキッドバイオプシーサンプルを5名20サンプルについて解析を行った。その結果、8遺伝子のうち4遺伝子でリキッドバイオプシーサンプルにてメチル化解析可能であることが明らかになった。この4遺伝子は、HPV関連中咽頭癌患者のリキッドバイオプシーによる定期的なサンプルで再発の有無を評価できる遺伝子である可能性が示唆された。リキッドバイオプシーからのDNAによってHPV関連中咽頭癌患者の予後、追加治療の有無などの評価につなげられるようにデーターの蓄積を行っていく。
|