研究課題/領域番号 |
16K20245
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
福田 有里子 (橋本有里子) 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (80570499)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 神経栄養因子 / 嗅上皮 / 再生 / ハイドロゲル |
研究実績の概要 |
神経栄養因子/細胞増殖因子をマウスの嗅上皮障害後に局所投与し、コントロール群と嗅上皮の組織学的な改善度、および嗅覚行動の改善を検討した。嗅上皮傷害モデルとしてはまず6週齢相当の雄ICRマウスを使用した。チアマゾール腹腔内投与による嗅上皮傷害後、4日目に鼻腔にbFGF(basic fibroblast growth factor)単独、IGF-I(insulin like growth factor type 1)単独、NGF(nerve growth factor、BDNF(brain derived nerve growth factor)およびそれらの混合を点鼻した。各神経栄養因子はハイドロゲルに浸し点鼻を行った。チアマゾール傷害後11日、18日、25日後の組織を採取した。その結果、いずれの群においても嗅上皮の基底細胞、未熟な嗅神経細胞、成熟嗅神経細胞とも、組織学的な改善を認めなかった。嗅覚行動においても有意な差を認めなかった。嗅覚行動実験においては、実現性・再現性に乏しく検討の余地が見られた。 続いて高齢マウスに対するbFGF点鼻を行った。以前の当科の研究とは異なり、神経栄養因子はハイドロゲルに浸して点鼻を行った。点鼻後14日、21日、28日の組織を採取した。その結果、いずれの群においても未熟な嗅神経細胞の個数が有意に増加していた。以前の当科における研究と同じ結果となった。以前の当科の研究が1日2回の連日点鼻であったのに対し、ハイドロゲルに浸した神経栄養因子の点鼻は単回投与であり、ハイドロゲルの徐放能の有用性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
若齢マウスのチアマゾール傷害モデルマウス、高齢マウスともに研究が終了しており、概ね順調、あるいは当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
高齢のチアマゾール傷害モデルについても検討を行うとともに、余裕があればNGF、BDNFなどの他の神経栄養因子、あるいはそれらの組み合わせについても検討を行う。 組織学的に効果が認められた場合、嗅覚行動実験についても検討を行い、嗅覚行動について確立できるようにする。
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