神経栄養因子(FGF2, IGF1)を高齢マウスの傷害嗅上皮へ経鼻的に投与することにより、基底細胞の増殖を促進し、未分化な嗅神経細胞から成熟した嗅神経細胞への分化を促進させる可能性が示唆された。徐放用ハイドロゲルの使用により、持続的な効果が確認された。FGF2およびIGF1は他領域の再生医療において既に臨床応用されている。傷害された嗅上皮の再生を促進するという意味で、嗅覚障害の治療薬の有力な候補と考えられた。経鼻投与は外来耳鼻咽喉科において容易に行えると考えられ、また局所徐放剤のため全身副作用の懸念も少ない。臨床応用のためにこの成果が生かされるよう何らかの働きかけをすべきである。
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