研究課題/領域番号 |
16K20246
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
福原 隆宏 鳥取大学, 医学部, 助教 (80403418)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / リンパ節転移 / 超音波 / エラストグラフィ / shear wave エラストグラフィ / ARFI |
研究実績の概要 |
超音波エラストグラフィは、硬さを客観的に評価するために手法として開発された。従来の超音波エラストグラフィは、組織を用手的に圧迫したときに生じる歪みの割合を色分けして表現するものであり、その判定は、やはり検者依存性が強かった。 これに対し、近年開発されたshear waveエラストグラフィは、音響放射圧(acoustic radiation force impulse: ARFI)により発生した超音波せん断波(shear wave)の組織伝達速度から組織弾性を定量的に評価できるため、主観を排除した硬さの評価が可能となる可能性がある。しかし、頸部リンパ組織において、生体内でのshear wave伝達速度と組織構造の関係は不明であった。 本研究では、頭頸部リンパ節とshear wave速度との詳細な関係を明らかにし、頭頸部癌リンパ節転移評価において、AFRIによるshear waveエラストグラフィの有用性を検証する。 本年は、実臨床において、頭頸部癌のリンパ節転移診断におけるshear waveエラストグラフィの診断精度について検証をおこなった。頭頸部癌転移リンパ節67個について、術前のshear waveエラストグラフィと摘出標本におけるshear waveエラストグラフィを測定し、比較検討をおこない、転移診断のための判定基準について新たな案を作成した。この判定基準を元に、診断精度を検証したところ、従来のエラストグラフィと比べ、非常に良い結果を得た。この結果をいくつかの国内学会、国際学会で発表した。依頼講演もおこない、日本語の論文を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究予定では、平成29年度の前半までにshear waveエラストグラフィの結果と病理構造との関係を明らかにし、そのパターンを分類することを目的としていた。現在、我々の研究状況は、頭頸部扁平上皮癌の転移リンパ節について、術前のshear waveエラストグラフィのデータを収集し、術後の病理結果と比較検討しているところである。研究開始より、67の検体において実施した。 この結果、エラストグラフィの画像パターンを決定し、リンパ節転移の病理と比較し、転移の判定基準案を作成した。 我々の作成した新たなエラストグラフィによる判定基準案を採用したshear waveエラストグラフィの診断精度は、従来のエラストグラフィによる診断精度を上回った。また、従来のエラストグラフィで問題とされた検者依存性を解決し、定量的評価を可能とした。
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今後の研究の推進方策 |
このまま症例を蓄積し、引き続きデータの収集をおこなう。前年までに決定した転移診断基準が適正か、検証をおこなう。ここまでの結果を国際学会で発表し、国内誌、国際誌にて、日本語論文と英語論文で発表する予定である。更に、頭頸部癌転移リンパ節に対する化学療法や放射線療法の効果判定や、残存病変の有無、再発早期発見など、新たな活用法を検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
大きな計画のずれは生じていない。次年度に、成果を国際学会や論文で発表するため、次年度使用顎とする。
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次年度使用額の使用計画 |
主に成果を国際学会や論文で発表するため、使用とする予定。
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