研究課題/領域番号 |
16K20253
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
中野 貴史 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 頭頸科医師 (20770100)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 唾液腺癌 |
研究実績の概要 |
唾液腺癌の精密な形態機能病理学的解析を基に分子生物学的解析を行うことで将来の新たなテーラーメイド治療の確立を目指すことを研究の目的にしている。従って、まずは唾液腺癌の多彩な組織型の診断を確定させることが非常に重要となる。更に、予後を含めた臨床病理学的情報も重要な部分となる。従って、初年度はまず症例の収集及び診断の確定・臨床病理学的情報の収集から取り掛かった。 約30年前の診療録から臨床病理学的情報を得て、各症例の組織型の確定を行った。 1)排出導管由来と考えられている粘表皮癌や唾液腺導管癌の頻度が比較的多く、介在部導管の筋上皮基底細胞由来と考えられる腺様嚢胞癌や筋上皮癌は頻度が比較的少ないという結果を得た。九州大学病院での症例の傾向はこれまでの報告とは違った傾向を認めた。更に、得られ た組織を悪性度別に分類したところ約40%もの症例が高悪性度に分類され、高悪性度は優位に予後が悪いという結果であった。 2)特に高悪性度症例では術後に放射線療法や化学療法が行われていたものの、これまでの治療法では十分な治療効果が得られていな いという結果であり、組織型及び由来細胞毎のテーラーメイド治療の確立が待たれると考えられた。2年目においても更に九州大学病院同様に九州がんセンターにおいて唾液腺癌症例の診断の確定・臨床病理学的情報の収集を行った。九州がんセンターでも同様に高悪性度症例が約45%であり、優位に予後不良という結果が得られた。 現在は治療抵抗性に関わる因子の免疫染色や遺伝子異常について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
唾液腺癌における組織型の確定及び臨床病理学的情報の収集は終了し、中間報告として2017年の頭頸部外科学会にてその結果を報告した。 唾液腺癌は比較的稀な疾患であり、さらに組織型によっては10年以上の経過を確認しなければならないものもある。従って、十分な症例数を集めるためには数十年間分の診療録のレビュー及び組織型の確認が必要であり、九州大学のみならず九州がんセンター症例も追加することができた。これらの収集に関しては順調であり、本結果を2018年の日本耳鼻咽喉科学会で発表予定である。しかし、 症例が古いものはホルマリン固定標本であったとしても保存状態が不良であり、IHC・ISH・融合遺伝子解析に耐えうる標本が得られにくく、現在再検討中である。 また、当初は唾液腺癌のみでの検討の予定であったが、同様の手法を応用し頭頸部扁平上皮癌でもIHCやISHにて検討を行い、学会発表を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
低悪性度唾液腺癌で予後に関わることは少なく、一方で高悪性度唾液腺癌では治療に難渋することが多い。従って、今後は高悪性度唾 液腺癌を中心に研究を進める予定である。これらの腫瘍の免疫染色の継続及び遺伝子異常の解析行う。その上で、これら免 疫染色結果や遺伝子異常と病理組織学的形態との関連、これらの遺伝子異常の持つ臨床的意義、関連したシグナル経路の異常について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成28年度は診療録からの情報抽出及び学会・研究会・参考図書などでの最新の情報収集が研究の中心であり、平成29年度もその範囲を九州がんセンターへ拡大し情報収集が中心であったため、高額となる試薬や機材への投資が少なかった。しかし、2年間で得られたデータを解析し平成29年度に発表し、論文作成終了しており現在は論文投稿中である。 (平成30年度使用計画) 免疫染色などを行い、得られたデータを積極的に学会発表・論文発表を行う予定でである。
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