研究実績の概要 |
頭頸部癌に対する腫瘍溶解性ウィルス治療導入の基礎的な検討を行うため、頭頸部癌細胞株を用いて実験を行った。頭頸部癌細胞株としてはHSC-2, HSC-3, HSC-4を用い、ウィルスとしてはCoxsackievirus B3ウィルス(CVB3)を用いた。 まず、ウィルスが細胞株に感染可能かどうかを確認するために、CVB3受容体である、coxsackievirus and adenovirus receptor (CAR)およびCD55 (DAF)の頭頸部癌細胞株上の発現をFACSを用いて検討した。HSC-2, HSC-3, HSC-4いずれの細胞株においても、CAR、DAF の発現が確認された。 次に、ウィルス感染により頭頸部癌細胞株の細胞死がみられるかを確認するために、ウィルス感染による細胞死をCrystal Violet染色法にて検討した。ウィルスのtiter依存的に細胞死が誘導されることが確認された。HSC-4で最も効果的な細胞死の誘導がみられ、HSC-2とHSC-3では非常に弱い細胞死の誘導がみられた。細胞死の誘導の程度とCAR、DAFの発現の程度との相関はみられなかった。 さらに、MTS assayにてウィルス感染の時間依存的に頭頚部細胞株の細胞死が誘導されていることが確認された。HSC-4で最も効果的な細胞死の誘導がみられ、HSC-2では中等度の、HSC-3では弱い細胞死の誘導がみられた。
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