研究課題/領域番号 |
16K20257
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
草場 雄基 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (70648592)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 基礎医学 / 加齢性難聴 / MNAM / Sirt1 |
研究実績の概要 |
脱アセチル化酵素であるSirtl は細胞の老化において極めて重要な役割を担っている。従来、NADを介するSirt1の活性化がSirt1の持つ様々な生理機能の発現に重要であると考えられていたが、最近、MNAM(N1-methylnicotinamide)を介するSirt1タンパクの安定化が、Sirt1の機能発現に重要であることが報告された(Hong S, et al. Nature medicine 2015)。そこで、本研究では、このMNAMを介するSirtl安定化メカニズムに着目し、MNAM投与によるSirt1タンパクの安定化メカニズムによる加齢性難聴発症の抑制の可能性について検討を行う。加齢に伴う難聴は、認知機能低下、うつ病発症のリスクなどを増加させることが明らかとなっており、高齢化が急速に進行する我が国において、加齢性難聴の発症防止、治療法の開発は、国民のQOL、医療費の削減の面からも喫緊の課題である。本研究により、現在補聴器装用以外に有効な治療法がない加齢性難聴に対する新たな予防法の確立、ひいては治療法の確立にも大きく貢献できると考えている。 今回、予備実験として、経口的に加齢性難聴モデルマウス(C57BL/6マウス)に対して、試料に混合したMNAMを3か月間投与し、加齢性難聴発症に対する防止効果について聴性脳幹反応(ABR)を用いて検討を行ったところ、MNAMを投与した群では投与していない群と比較して、有意に難聴発症が抑制されていることが明らかとなった。今後、これらのマウス蝸牛にNnmt、MNAM、Sirt1が存在するかを確認し、さらに蝸牛由来培養細胞であるHEI-OC1細胞をMNAM存在下で培養を行い、Sirt1 mRNAの発現動態を確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
試料の作製、マウスの飼育に時間がかかったこと。熊本地震による実験の中断でやり直しを余儀なくされたことが理由に挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの飼育実験を先に開始し、その後比較的時間のかからないと思われるin vitroの実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年生じた熊本地震による機材の破損および研究のための消耗品の購入運送に時間を要し、研究の一時中断を余儀なくされたため。
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次年度使用額の使用計画 |
破損した器械や器材の修復および再購入と、消耗品の購入、さらに昨年地震のため参加できなかった学会発表のための旅費に使用する予定である。
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