研究課題/領域番号 |
16K20276
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松崎 佐栄子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70573400)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | NF2 / ヒト疾患由来iPS細胞 / iPS |
研究実績の概要 |
初年度に引き続き、正常個体からのヒトiPS細胞由来内耳神経節細胞および内耳グリア細胞の安定した作成法を樹立した。蝸牛神経節細胞および内耳道内のグリア細胞は発生学的には耳胞由来であり、その上皮が陥凹し、分かれてくることで形成される(delamination)。このプロセスを再現するべく、ヒトiPS細胞から既報の段階的内耳細胞誘導法(Hosoya, Cell Rep 2017)を用いて、ヒトiPS細胞から作成した耳胞用蝸牛前駆細胞(Otic progenitor cell)より神経細胞およびグリア細胞を作成し、そのマーカー発現を確認した。そして、これらの工程の再現性と安定性を高めることができた。 また、次世代シーケンサーを用いて、患者リクルートに必須であるNF2遺伝子の検索を行った。すでに知られているように、NF2は極めて大きな遺伝子であり、その配列をSanger法で決定するのは途方もない手間と時間を必要とする。そこで今回、独立行政法人国立病院機構東京医療センター聴覚障害研究室(松永達雄医師)と、かずさ研究所との共同研究として、NF2の臨床的診断がついている患者ではあるが、一度、次世代シークエンサーを用いたexome解析にまわし、得られた配列を元に、既報の変異情報と、日本人の正常アレル頻度情報を元にして遺伝子解析を行うこととして、準備を進めた。現在、6検体について遺伝子解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次世代シーケンサーを用いてNF2遺伝子検索を行っているが、患者iPS細胞の樹立には至らず次年度に持ち越しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS細胞由来の内耳神経節細胞、グリア細胞を作成する技術は安定しているため、来年度はNF2患者由来のiPS細胞を樹立し、そのiPS細胞から内耳神経節細胞、シュワン細胞を作製する。シュワン細胞は内耳型(内耳細胞軽油)シュワン細胞および中枢型(神経堤細胞経由)シュワン細胞をおのおの誘導し、マイクロアレイを用いて遺伝子解析を行う。差異が見られれば、その部位が治療ターゲットとなりうる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究が当初より遅延しているため (使用計画)来年度、iPS細胞の樹立・維持のために必要な多くの物品、試薬その他の購入をする。
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