研究課題/領域番号 |
16K20284
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
山田 健太郎 金沢医科大学, 医学部, 助教 (60722642)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エストロゲン / 卵巣摘出術 / OMP / Ki-67 |
研究実績の概要 |
嗅覚障害の原因で感冒罹患後は副鼻腔炎に次いで2番目に多く、中高年女性に多いとされている。しかし感冒罹患後嗅覚障害が中高年女性に多い理由は科学的に示されていない。本研究では卵巣摘出マウスを用いて閉経モデルを作成し、擬似手術群と嗅上皮障害の再生について比較検討した。8週齢時に卵巣摘出術と擬似手術を受けた雌のbalb-cマウス計28匹を使用した。9週齢時に嗅上皮障害をアポトーシスによって引き起こす抗甲状腺薬メチマゾール(75mg/Kg)を腹腔内投与し、投与後2、4、6週後に鼻腔組織を摘出し標本を作成した。2、4週群は5匹ずつ、6週群は4匹ずつの内訳とした。免疫染色は成熟嗅上皮細胞の指標のOMP(Olfactory marker protein)染色、増殖細胞の指標のKi-67染色を行い嗅上皮100μmあたりの陽性細胞率(全細胞数における陽性細胞数の割合)を3箇所で測定し、その平均値で嗅上皮再生の様子を検討した。投与後2週時点では卵巣摘出群の方が擬似手術群に比べてOMP、Ki-67の陽性細胞率は優位に低かった。しかしながら4、6週においてはOMP、Ki-67の陽性細胞率は卵巣摘出群、擬似手術群間で優位差は認めなかった。以上より嗅上皮障害後の再生過程で6週まで時間経過すれば卵巣摘出群も擬似手術群も同等に嗅上皮は改善するが早期の段階では低エストロゲン状態が嗅上皮再生を遅延させている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
卵巣摘出マウスを準備することに時間を要した為
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今後の研究の推進方策 |
嗅上皮障害後再生の早期段階でのエストロゲンの関与が示唆された。エストロゲンがどの様に嗅上皮再生に関わるかを検討する。これまでの研究から神経成長因子であるNGFとの関与が示唆される為、その受容体であるTrk-A染色を行う方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
卵巣摘出マウス、擬手術マウスが一度に多く注文できなかった為
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次年度使用額の使用計画 |
卵巣摘出マウス、擬手術マウスをさらに準備し個体数を増やす。また本研究結果を国際学会で発表予定である。
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