研究実績の概要 |
C57/BL6マウスに腹腔内麻酔を行い無痛下に鼓膜穿孔を作成。経時的に無痛下にDay0,1,5,10,15,20においてsacrificeし、中耳組織を免疫組織学的に評価した。鼓膜穿孔閉鎖過程において、初期では上皮層の増殖がみられた。上皮層では残存鼓膜の辺縁(鼓膜輪側)に前駆細胞を示唆するKi67陽性細胞が出現し、辺縁を含めて全体が増殖していた。閉鎖の中期には固有層の先端(穿孔縁側)に前駆細胞を示唆するKi67陽性細胞が出現した、穿孔縁側から増殖が進展していく傾向がみられた。このように上皮層と固有層では閉鎖過程の細胞動態が異なることがわかった。また、HE染色とMasson Trichrome染色にて閉鎖初期に鼓膜輪周辺や中間層の先端(穿孔縁側)に紡錘形の核が単調に増殖し、周囲に膠原繊維をともなっていない細胞集団がみられた。このような所見から未分化な間葉系細胞の存在が示唆された。
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