本課題では、頭頸部がんのがん幹細胞(CSC)マーカーとして申請者が同定したCSPG4に着目し、「頭頸部がん幹細胞」における機能解析と臨床応用に取り組む。具体的には、①頭頸部がん「がん幹細胞」の機能発現におけるCSPG4細胞内ドメインの果たす役割は何か?、②がん幹細胞性の発揮に関わるエフェクター分子および複合体は何か?③CSPG4の活性化するパスウェイおよび標的遺伝子は何か?、④CSPG4を標的とした特異的治療法の開発は可能か?の4点を検討する。これらのアプローチによりCSPG4陽性のがん幹細胞に関する研究を展開し、頭頸部がん幹細胞の新たな標的を探索する。頭頸部がんの革新的治療に資する基盤となるデータ収集を目的とする。本年度はCSPG発現ベクターの構築を行い、安定に発現させた細胞を樹立した。これらの細胞が示す「がん幹細胞性」について解析したところ顕著な差異は認められず、CSPG4はがん幹細胞性の付与には影響を与えないことが示唆された。また、細胞遊走や細胞骨格にあたえる影響は顕著な差異がなかった。一方、悪性細胞においてCSPG4が発現することから、将来のCAR-T細胞療法などの標的として有用であることが示唆された。
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