研究課題/領域番号 |
16K20298
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
尾崎 拓 岩手大学, 理工学部, 准教授 (70621069)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NMDA誘導性網膜傷害 / C57BL/6マウス / 網膜神経節細胞 / アマクリン細胞 / ペプチド点眼 / TUNEL試験 / フラットマウントイメージング / 保護効果 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、新規機能ペプチドの緑内障治療薬としての可能性を評価する。具体的な研究項目として、以下の3項目を実施することを当初の計画としている。1) In vitro 解析:マウス由来神経細胞において、本ペプチドの効果を評価する;2) Ex vivo 解析:マウス培養網膜において、本ペプチドの効果を評価する;3) In vivo 解析:各種緑内障モデルマウスにおいて、本ペプチドの神経保護効果を評価する。このうち研究項目1と2については、平成28年度と平成29年度に実施し、良好な結果を得ている。そこで平成30年度(当該年度)では、研究項目3を実施した。 初めに、野生型C57BL/6マウスにN-methyl-D-aspartic acid (NMDA)を硝子体注射することにより網膜傷害を誘導した。特に網膜内層にあるアマクリン細胞や網膜神経節細胞において、細胞死が観察された。細胞死はTUNEL試験および一本鎖DNA抗体による免疫染色により評価した。次に、NMDA投与前1週間と投与後3週間に渡って1日3回、1 mMの濃度で点眼し、NMDAによる網膜傷害に対する保護効果を評価した。対照群として、非点眼群、生理食塩水点眼群およびコントロールペプチド点眼群を用いた。NMDA注射3日後、1週間、2週間、3週間後に眼球を摘出し、TUNEL試験にて網膜神経節細胞死を、フルオロゴールドラベリングした網膜のフラットマウントイメージングにて網膜神経節細胞の数を評価した。 その結果、ペプチド点眼群の網膜では、NMDA誘導性の網膜神経節細胞死が抑制されることが示された。また、フラットマウントイメージングにおいても網膜神経節細胞の数が、他群と比較して有意に多いことが明らかとなった。 以上の結果から、NMDA誘導性の網膜神経節細胞死に対して、本ペプチドは保護効果を有することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り順調に研究が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
視神経軸索障害モデルマウス、高眼圧虚血モデルマウス、グルタミン酸輸送体(GLAST)欠損マウスなど、NMDA硝子体注入マウスとは異なる緑内障モデルマウスを用いて、本ペプチド点眼による治療効果を評価する。
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