研究実績の概要 |
申請者らは以前、網膜の細胞死と密接に関わっているミトコンドリアカルパイン-1を特異的に阻害するペプチドの開発に成功した。本ペプチドは、点眼によって網膜や視神経乳頭まで送達され、視細胞変性モデルに対して視細胞保護効果が認められた。さらに、前回採択された科研費【若手研究(B), H25-27】により、高眼圧・虚血モデルにおける神経節細胞死に対しても保護効果を認めた。そこで本試験では、培養細胞、器官培養網膜および緑内障モデルマウスを用いて神経節細胞死に対する本ペプチドの効果を総合的に評価することを目的とした。具体的には以下の3項目を実施した。 1) マウス神経節細胞由来RGC-5において本ペプチドの効果を評価 (in vitro解析) 2) 低酸素培養したマウス網膜の神経節細胞において本ペプチドの効果を評価 (ex vivo解析) 3) 緑内障モデルであるNMDA硝子体注入マウスおよび視神経軸索障害マウスを用いて、本ペプチドの神経保護効果を評価 (in vivo解析) 上記の3項目のうち、当該年度は、NMDA硝子体注入マウスおよび視神経軸索障害マウスに対する本ペプチドの効果を評価した。その結果、NMDA硝子体注入マウスおよび視神経軸索障害マウスに対する本ペプチド点眼群では、対照群と比較して、網膜神経節細胞の数が有意に多いことが明らかとなった。この結果より、本ペプチドはNMDA硝子体注入マウスおよび視神経軸索障害マウスの網膜神経節細胞障害に対して、保護作用があることが示された。
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