神経は障害を受けることで、TLRやサイトカインが放出され、それをうけ、NF-kBが反応し、神経炎症や、T細胞の活性化、また自己抗体産生などが起こるとされている。しかし、正常眼では、正常に保つように機能しているが、緑内障では、一定したサイトカインの放出、慢性的なストレスによる免疫制御不能、グリア細胞の継続的活性化が起こっている状態となって、それらが神経変性障害を多く発生させる原因となっているのではないかと考えられている。そのため、この経路を抑制することは神経障害抑制の観点からも大変重要であると考えられる。これまでの成果では視神経挫滅モデルにおいてIL-6などの炎症性サイトカインがリパスジルのより抑制することが示されたが、他に有意に抑制される炎症性サイトカインはわからなかった。そこでC57BL/6J マウスの視神経挫滅モデル(挫滅から4-5日後)を用い、投与経路を硝子体注射、経口投与、硝子体注射と腹腔投与など条件をさらに細かくして検証した。本研究ではリパスジル経口投与において視神経挫滅後のIL-1bが有意に抑制されることが示せた。しかし他の炎症性サイトカインは条件を変えてもリパスジル発現量に有意な変化はなかった。今後この研究では培養細胞を用いたリパスジルの効果をさらに検証したり、FACSを用いたマイクログリアを単離して、マイクログリアの増殖や性質の変化をみることでリパスジルの抗炎症作用を詳細に検証する必要があると思われた。
|