研究実績の概要 |
平成28年度に行なった分解性非膨潤性ハイドロゲルの作製および安全性試験の結果では、ウサギ埋植試験でハイドロゲルと残存硝子体界面に混濁を認め、組織学的評価では高度の炎症細胞浸潤を認めたため、作製した分解性ハイドロゲルは眼内タンポナーデ材料として不適であると考えられた。原因としては分解性を持たせるために、官能基にアクリル基を用いたこと、物質の組成の変更に伴い一部滅菌方法に変更があったことなどが考えられたため、官能基の配列を変更し、ゲル合成後の生体との反応性を低減させ、滅菌方法を改善し、濃度の異なる分解性ハイドロゲル(6, 12, 20g/L)を複数作製して、ウサギ埋植試験による安全性の再評価を行なった。その結果、平成28年度に作製した分解性ハイドロゲルに比較してハイドロゲルと残存硝子体界面の混濁の低減、臨床的な炎症の大幅な軽減を認め、臨床的に許容できる範囲であると評価した。組織学的評価でも炎症細胞浸潤の低減を認めた。さらに非臨床POC取得に向け、in vitroにおける出血に対するハイドロゲルの透明性維持効果の検証、in vitroにおけるハイドロゲルの眼内タンポナーデ効果の実証試験を追加試験として行い、良好な結果を得た。今後はウサギ埋植試験の追試験によって安全性の確認を行うとともに、加速試験によるハイドロゲルの安定性、in vitroにおける安全性試験を行い、製品化に向けた仕様策定を進める予定である。
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