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免疫不全者に日和見感染症をおこすことが知られているサイトメガロウイルス(CMV)が、近年免疫正常者における角膜内皮炎の一因であることが報告されているが、病態は不明である。これまでに申請者らはCMV角膜内皮炎のin vitro感染モデルを確立し、初代培養角膜内皮細胞でCMV実験室株が非常に効率よく増殖できるという知見を得た。
本研究では、CMVが器官培養した角膜内皮細胞で増殖できるのかを検討するために、研究用ヒト角膜を器官培養し、角膜内皮側に複数のCMV実験室株を接種した。分離した角膜上皮、実質、内皮それぞれの組織におけるCMVのRNA・蛋白の発現、ゲノム複製、培地のウイルス感染価を経時的に解析し、CMV感染後の全層角膜を病理組織学的（抗CMV免疫染色と蛍光in situハイブリダイゼーション）に検討した結果、全てのCMV実験室株が複製し、角膜内皮における水平方向および角膜実質への垂直方向への増殖拡大が明らかとなった。
また、これらCMV実験室株と、患者から検出されたCMVの遺伝子型の相同性を検討することを目的に、眼内液から抽出した微量なDNAを用いて全ゲノム解析を試みた。各次世代シーケンサーで解析可能なライブラリー作製法を検討した結果、CMVコピー数が105 コピー/ml以上必要であることが示唆された。現在、CMV全ゲノムをロングPCRで特異的に増幅した後にシーケンスを行っている。CMV実験室株との相同性に加え、臨床病型（角膜内皮炎、虹彩炎、網膜炎）とCMV遺伝子型との関連についても検討している。
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