研究課題/領域番号 |
16K20306
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白川 理香 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30770490)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マイボーム腺 / ドライアイ / 眼瞼 |
研究実績の概要 |
今年度はヒトに対する観察研究を中心に行い、学会発表を2回行った。 54名のマイボーム腺機能不全患者と119名の正常ボランティアのマイボーム腺像をマイボグラフィーで観察した。マイボーム腺機能不全患者では上眼瞼と下眼瞼のマイボ―ム腺変化(マイボスコア)は上下のマイボスコア合計と相関せず、マイボスコアが上下で2段階以上差のある例が患者全体の30%以上であった。つまりマイボーム腺機能不全の診療をする際は上下両方の眼瞼をも観察することの重要性が示唆された(ARVO2016)。 また、眼瞼下垂手術(眼瞼挙筋腱膜縫着術)前後の眼瞼の計測および涙液機能評価を開始した。現時点では6例9眼(男性1例女性5例、平均年齢74.5±7.6歳)で、術前/術後1か月の角結膜上皮障害スコアは0.89±0.23 /1.00±0.87(p=0.68)で不変、シルマー値は8.0±4.5/13.7±13.6 mm(p=0.69)で不変、であった。眼瞼高は5.3±1.6/ 9.1±1.8 mm(p=0.002)と増加、MRD-1は0.8±0.6/ 3.3±1.0 mm(p=0.0004)と増加、涙液メニスカス高は0.27±0.13/0.26±0.09 mm(p=0.82)で不変あった(角膜カンファランス)。今後は症例数、観察期間を増やし、観察項目も追加し術前後の眼表面面積の増加に伴う眼表面の状態の変化について検討し、眼瞼下垂の手術治療の最適化の指針の構築を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人に対する観察研究は進行しているものの、ウサギを使った実験は動物管理の時間的問題で施行できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
眼瞼下垂手術前後の観察研究では症例数、観察期間を増やし、観察項目も追加し術前後の眼表面面積の増加に伴う眼表面の状態の変化について検討し、眼瞼下垂の手術治療の最適化の指針の構築を目指す。検査のマンパワーが次年度から増える予定であり効率的なデータ収集が期待できる。 動物実験についてはまず少数でモデル作成の至適条件を検索し効率的に実験を進めるように工夫する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析や論文発表のための人件費、英文校正費がまだ生じていないため。 実験動物を未購入のため動物購入費と動物飼育費が生じていないため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費については、実験用動物として白色家兎、動物モデル作成のための眼科手術用器材、手術用ディスポーザブルキットなどの消耗品、病理組織学的検査用の染色用試薬、抗体などの消耗品、および当研究の結果を発表する機会としての学会発表にかかる交通費等の必要経費、論文投稿における必要経費を計上する予定である。
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