研究課題/領域番号 |
16K20316
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩井 祥子 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (00768905)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分岐鎖アミノ酸 / 網膜色素変性 / 加齢黄斑変性 / 網膜保護 |
研究実績の概要 |
現在日本において、緑内障、網膜色素変性、加齢黄斑変性は中途失明の主な原因であるが、著明な効果を示す改善薬は未だ無い。本研究では分岐鎖アミノ酸(BCAA)に着目し、その網膜保護の効果とメカニズムを検証、解明することにより、眼疾患への適用拡大を目指している。 平成28年度は次の3つの実施計画を立てて研究を行った。 1つ目の「分岐鎖アミノ酸の網膜色素変性に対する視細胞保護効果検討」では、視細胞が変性する網膜色素変性モデルマウスのrd10とrd12を用いて、BCAA投与群とコントロール群を比較した。光干渉断層計、組織切片、網膜電図検査の結果から、BCAA投与によって網膜の菲薄化や機能低下が抑制されることがわかった。 2つ目の「分岐鎖アミノ酸の加齢黄斑変性に対するドルーゼン消失効果判定」では、CCR2が欠損した加齢黄斑変性モデルマウスを用いて、BCAA投与群とコントロール群を比較した。眼底カラー写真を撮影することによりドルーゼン数を評価した結果、BCAA投与によってドルーゼンの増加が抑えられることがわかった。また、網膜電図検査の結果、BCAA投与群において網膜の機能低下が抑制される傾向にあった。 3つ目の「網膜細胞保護メカニズムの解明」では、HeLa細胞を用い、BCAA添加群とコントロール群の細胞内ATP量、各タンパク質発現量を比較した。細胞内のATP濃度は、小胞体ストレス誘導剤を添加することにより低下するが、このストレス条件下でBCAAを添加するとATP濃度の低下が抑制されることがわかった。さらにウェスタンブロットを実施したところ、小胞体ストレスで発現が上昇するCHOP、Grp78タンパク質が、BCAA添加によって発現抑制されることがわかった。また細胞内シグナル伝達に関与するmTORの活性化においては、BCAAがmTORおよび下流シグナルタンパク質4EBP1のリン酸化を促進していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績にも記載した通り、平成28年度の研究計画は順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究計画では、BCAAの緑内障モデルマウスにおける網膜神経節細胞保護効果検討と、BCAAの存在、非存在条件下で培養した細胞を用いて遺伝子発現プロファイルを比較検討する予定である。 緑内障モデルマウスにおいては、急性網膜神経節細胞障害モデルマウスやGLAST欠損マウスを用いて、BCAA投与での神経節細胞死抑制効果を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費においては、研究のペースを速める為に補佐員を雇用する予定であったが、実験が順調に進んだ事で雇用の必要性がなくなった。また、予備検討がうまくいったことから物品費やその他諸経費が少なくて済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は新たな疾患動物の購入や遺伝子発現プロファイリングを予定しており、物品費が高額になることが予想される。またそれら実験において補佐員の雇用を予定している。
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