研究課題
糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症は中途失明に関わる疾患であり、その発症および進行には虚血および病的血管新生が密接に関連することが知られている。本研究では、既存血管に存在して血管新生に中心的な役割を果たす特殊な血管内皮細胞を同定し、血管新生との関連を解明することにより、血管新生を制御する新規治療法の開発を目指すことを目的としている。我々は、これまでの研究において、フローサイトメトリーおよび蛍光モノクローナル抗体を用いた精度の高い血管内皮細胞単離法を確立し、さらにDNA結合色素Hoechstを用いたSide population (SP)法を行い、血管新生の際に中心的な役割を果たす可能性のある潜在的増殖活性の高い血管内皮細胞として血管内皮SP細胞を同定した(EMBO J 2012, IOVS 2013)。さらにDNAマイクロアレイを用いてマウス血管内皮SP細胞に特異的に発現する分子としてCD157(Bst1)を新たに同定した。平成29年度の研究では、CD157で血管を免疫染色したところ、CD157陽性血管内皮細胞は毛細血管には存在しておらず、太い血管(主に静脈)に散在していることが分かった。CD157陽性の血管内皮細胞とCD157陰性の血管内皮細胞を回収し、Vitroで培養したところ、CD157陽性の血管内皮細胞は多数の血管内皮細胞を作り出す能力があることが分かった。また生体内において1個のCD157陽性血管内皮細胞が多数の血管内皮細胞からなる毛細血管を作り出すことが判明した。これらの成果は2018年Cell Stem Cell誌に報告した。平成30年度の研究では、CD157陽性の血管内皮細胞が実際に生体内で血管新生に貢献するかを調べるために、CD157遺伝子座に対してCreERT2コンストラクトを直接ノックインしたマウスを作製した。
3: やや遅れている
CD157遺伝子座に対してCreERT2コンストラクトを直接ノックインしたマウスの作製に時間を要している。
CD157遺伝子座に対してCreERT2コンストラクトを直接ノックインしたマウスを作製することによりCD157陽性血管内皮細胞をVivoで標識し、そこから血管新生が生じるかにつき検討を行う。
マウスの作製に時間を要したため。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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