研究課題
コア転写因子の機能解析を行うために、まず6つの転写因子のうちPAX6の解析を開始した。CRISPR/Cas9一体型プラスミドであるレンチウィルスベクターにPAX6をターゲットとしたsgRNAを作成しクローニングを行った。ヒト培養角膜上皮細胞に遺伝子導入してPAX6タンパクがノックアウトされたことをウェスタンブロッティングで確認した。ノックアウトをしても細胞形態は変わらず上皮性を維持していた。しかし、これらの細胞はmRNAレベルで、角膜上皮特異的遺伝子であるケラチン3、ケラチン12、ALDH3A1、クラスタリンの発現が低下し、一方でケラチン1、ケラチン10、インボルクリン、フィラグリンの発現が上昇した。またタンパクレベルにといても同様の発現変化を確認した。またマイクロアレイによる網羅的な解析を行うと、2倍以上の発現上昇した遺伝子は371遺伝子、発現低下した遺伝子は389遺伝子あり、発現上昇した遺伝子は有意にケラチノサイト関連遺伝子が多く含まれたいた。一方で、発現低下した遺伝子には有意に角膜関連遺伝子が含まれていた。この事は、PAX6が非角化粘膜上皮である角膜上皮細胞の性質と、角化上皮である皮膚細胞の性質を制御していることが示唆された。次にコア転写因子の1つであるOVOL2のノックダウン実験を行った。オフターゲット予防に4つのOVOL2ターゲットであるsiRNAを培養角膜上皮に導入し、機能解析を行った。細胞形態変化はノックダウン後に大きく変わり、細胞の上皮性が失われ、線維芽細胞様の形態に変化した。現在、OVOL2をノックダウン後の解析をさらに進めているところである。
2: おおむね順調に進展している
研究計画通りにPAX6ノックアウト実験は終了しており、現在OVOL2をノックダウンして、遺伝子発現解析を進めている。
予定通り進行しているので、今のままの計画通り進めていく。
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Cell Reports
巻: 15 ページ: 1359-68
10.1016/j.celrep.2016.04.020.