研究課題/領域番号 |
16K20327
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
藤田 識人 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (10453177)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 眼表面 / 化学外傷 / マイボーム腺 / 組織病理 / 免疫組織化学 / ノックアウトマウス / PPARγ / TGFβ |
研究実績の概要 |
まず野生型マウスを用いて1N水酸化ナトリウム暴露による眼表面アルカリ外傷時のマイボーム腺の障害の病態を解析した。1N水酸化 ナトリウム3マイクロLをC57BL/6マウスまたはBulbCマウスの片眼に点眼した。経過観察の中で、眼瞼を摘出し、裏面からマイボーム腺を観察した。C57BL/6マウスよりも、メラニン色素の無いBalbCマウスで観察がより容易であった。上眼瞼では管腔の拡張が示唆されたが、下眼瞼では管腔が欠落している領域が目立った。さらにその組織を組織病理と免疫組織化学 で観察した。上眼瞼では、眼瞼のマイボーム腺開口部の閉塞によると思われる管腔の拡張と内部の資質貯留を認めた。下眼瞼では、高度の好中球性の炎症と腺夫細胞のアポトーシス、脱落が観察され、管腔の拡張はほとんど観察されなかった。PPARガンマとELOVL4を腺房の文化マーカーとして免疫組織化学的に発現を観察したこと炉、下眼瞼の萎縮腺房では発現が低下していた。上眼瞼でのマイボーム腺の開口部閉塞に伴う脂質の貯留が管腔内面を覆う細胞の上皮ー間葉系移行を惹起している可能性が示唆されたものの、上皮ー間葉系 移行に関与が大きいシグナル伝達物質であるSmad3欠損マウスでも組織雑に変化は見られず、管腔の拡張が観察された。脂肪分泌細胞の分化因子PPARガンマをLoxPサイトでストップコドンをflox化したアデノウイルスベクターとCAGプロモーター搭載したCreリコン ビナーゼ搭載アデノウイルスベクターを用意した。アルカリで萎縮した下眼瞼を中心に、PPARガンマ遺伝子導入によるアルカリ障害 腺房の回復の可能性を検討する実験に十分な準備ができた。マイボーム腺の障害が上下眼瞼で異なったことは、涙液による洗浄効果などが想定されているが、臨床現場での症例受診時に十分留意すべきことであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウイルスベクターによる障害マイボーム腺遺伝子導入実験は、ウイルスベクター準備の段階で遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
ウイルスベクターによる障害マイボーム腺遺伝子の導入を進める。
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