研究実績の概要 |
難病指定を受ける網膜色素変性症は国内・国外いずれも4000-8000人に1人が中年以降に発症する高率に見られる疾患である。加齢とともに徐々に進行し、高齢化社会においては社会問題となる。遺伝子異常による変性疾患であり、治療法はない。ただし、網膜色素変性症は光に暴露することで進行が促進されることが知られ、光に関する介入は、網膜色素変性症の進行予防における重要な鍵となる。一方、現代社会では屋外および屋内共に光に暴露する機会が増加しその影響は無視できない。そこで、本研究では、光暴露による網膜変性の進行のメカニズムを解析し、網膜色素変性症の新規進行予防治療法につなげることを目的とする。本研究により、遺伝子異常があっても網膜異常が進行しないための新規治療法となる。 当研究室では、これまで様々な網膜疾患モデルマウスを用いて、その病態解明を行ってきた。その中で、網膜光照射モデルでは網膜視細胞層が菲薄化し、そのメカニズムに酸化ストレスが含まれることを示した (Narimatsu Ozawa et al. Free Radical Biol Med 2014)。一方で、光障害ではミトコンドリアの障害が生じ得ることが、ミトコンドリアDNAの分解のデータにより報告されている(Grimm et al. Invest Ophthalmol Vis Sci, 2001)。そこでミトコンドリアの状態に着目して研究を開始した。申請者はすでに、光照射モデルの作成に成功し、ミトコンドリア関連分子の解析をリアルタイムPCR等の手法により行った。
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