研究課題
難病指定を受ける網膜色素変性症は国内・国外いずれも4000-8000人に1人が中年以降に発症する高率に見られる疾患である。加齢とともに徐々に進行し、高齢化社会においては社会問題となる。遺伝子異常による変性疾患であり、治療法はない。ただし、網膜色素変性症は光に暴露することで進行が促進されることが知られ、光に関する介入は、網膜色素変性症の進行予防における重要な鍵となる。一方、現代社会では屋外および屋内共に光に暴露する機会が増加しその影響は無視できない。そこで、本研究では、光暴露による網膜変性の進行のメカニズムを解析し、その情報を最終的には網膜色素変性症の新規進行予防治療法につなげることを目的として行った。申請者は、網膜光照射モデルでは網膜視細胞層が菲薄化し、そのメカニズムに酸化ストレスが含まれることを示した。そのために、網膜切片を経時的に作製し、TUNELアッセイによる細胞死や実際に菲薄化した網膜の厚みの測定、および酸化ストレスプローブを用いた網膜の酸化ストレスレベルの測定を行った。また、ミトコンドリアについて電子顕微鏡や分子マーカーを調べたところ、光障害ではミトコンドリアの障害が生じ得ることが明らかとなった。そこでミトコンドリアに直接働き酸化ストレスを抑制する可能性のある薬剤を投与し、光照射モデルにおいて視細胞死が抑制されるかどうかを解析した。このように、申請者は網膜光照射モデルの作製法を確立し、その所見を解析するとともに、薬剤量や投与時期を振って網膜所見の変化を検討する実験を行った。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
PLoS One
巻: 12 ページ: -
10.1371/journal.pone.0178627.
NPJ Aging Mech Dis.
巻: 3 ページ: -
10.1038/s41514-017-0017-8.