• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

高脂肪食が加齢黄斑変性を引き起こすメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 16K20330
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

富田 洋平  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (00528200)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード高脂肪食 / 網膜 / 加齢
研究実績の概要

生活習慣病は現代の社会的問題であり、失明原因の上位を占める眼科領域でも注目される網膜疾患を引き起こす。これらの眼疾患は慢性炎症がその発症の基盤にあるとされ、食の欧米化が発症増加の一因であるとされる。しかし、高脂肪食・肥満が眼の網膜病態を引き起こす分子メカニズムには、不明の点が多い。そこで本研究では、マウスに高脂肪食を摂取させ、網膜における病的影響を分子レベルで解析する。本研究は、眼の生活習慣病の病態解明に役立つ。
本研究で注目するのは、加齢黄斑変性(Age-related Macular degeneration; AMD)とする。本疾患は、日本だけでなく世界においても失明原因の上位を占める疾患である。長寿に伴い増加し、国内では50歳以上の1%以上に見られる疾患となった。AMD発症の基盤には加齢に伴い蓄積する慢性変化があるとされ、発症のリスク因子には喫煙と共に、高BMIが含まれる。現代の患者増加の背景には、高脂肪食嗜好・肥満が深く関係すると考えられ、AMDは生活習慣病の一種であると言える。本研究では、高脂肪食負荷が網膜に引き起こす慢性炎症を解析し、将来的に眼の生活習慣病に対する新規予防治療法の開発につなげる。
本研究ではこれまでに、マウスにおける高脂肪食の継続的摂取により網膜組織に異常な脂質蓄積を引き起こすことが明らかとなり、これまでの加齢黄斑変性の発症に関する概念に矛盾しないことが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、一回の実験で1か月または3か月間の高脂肪食の継続摂取を必要とするものであり、サンプル採取まで時間がかかるのはやむをえない。しかし、申請者はすでに数回のサンプル摂取をしており、そのサンプルを用いた結果も得ており、順調に進んでいるといえる。ただし、スペース等の関係から、一回の実験で得られるサンプル数には限度があり、結果の確認等のためには、さらに何回かの実験をする必要があるのも確かである。いずれにせよ、高脂肪食が眼組織に変化を引き起こすことが明らかとなっており、今後の研究結果が期待されるといえる。

今後の研究の推進方策

マウスに継続的に高脂肪食を摂取させ、その際のRPEおよび隣接組織である脈絡膜組織における異常な脂質蓄積はすでに明らかにされた。そこでその組織での炎症性サイトカイン発現・マクロファージ遊走・組織内ROSレベルの変化について解析する。また、その結果生じる組織学的変化を解析する。そのためには、凍結切片における免疫組織学的手法、電子顕微鏡の手法、ELISAやウエスタンブロット等の生化学的手法、リアルタイムPCRを基本とした分子生物学的手法を用いる。電子顕微鏡については、大学の専用施設に依頼して解析する予定であり、それ以外の手法については、申請者の研究室で確率済みである。今後はサンプル採取のための動物飼育が必要である。

次年度使用額が生じた理由

1回の実験にかかる時間が1か月もしくは3か月と比較的長期であるため、次年度にわたっての実験の必要が生じたため。

次年度使用額の使用計画

高脂肪食および普通食を連日与える必要があり、そのえさ代および動物飼育代として用いる計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] Functional Visual Acuity in Age-Related Macular Degeneration.2016

    • 著者名/発表者名
      Tomita Y, Nagai Y, Suzuki M, Shinoda H, Uchida A, Mochimaru H, Izumi-Nagai K, Sasaki M, Tsubota K, Ozawa Y.
    • 雑誌名

      Optom Vis Sci.

      巻: 93 ページ: 70-6

    • DOI

      10.1097/OPX.0000000000000755.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Distinct responsiveness to intravitreal ranibizumab therapy in polypoidal choroidal vasculopathy with single or multiple polyps.2016

    • 著者名/発表者名
      Suzuki M, Nagai N, Shinoda H, Uchida A, Kurihara T, Tomita Y, Kamoshita M, Iyama C, Tsubota K, Ozawa Y.
    • 雑誌名

      Am J Ophthalmol.

      巻: 166 ページ: 52-9

    • DOI

      10.1016/j.ajo.2016.03.024.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi