研究課題/領域番号 |
16K20347
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
藤原 なほ 順天堂大学, 医学部, 助教 (20589543)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヒルシュスプルング病 / 神経ガイダンス因子 / セマフォリン3A / 細胞培養 |
研究実績の概要 |
腸管神経発生過程での神経ガイダンス因子の作用を明らかにするために、まず正常腸管とヒルシュスプルング病(H病)腸管での反発性軸索ガイダンス因子であるセマフォリン3A(SEMA3A)の発現を解析した。腸管神経の発生に関連する遺伝子SOX10に緑色蛍光タンパクを標識させたSOX10-VENUSトランスジェニックマウスとエンドセリンレセプターB(EDNRB)ノックアウトマウスの交配により作成したH病モデルマウスの胎仔腸管を日齢13.5、15.5採取。免疫組織染色を行い、SEMA3AがH病腸管では正常腸管と比較して直腸側で強く発現していることを明らかにした。さらに解析ソフトを用いて定量化を行った。これにより、H病腸管では正常腸管よりも有意にSEMA3Aの発現が高いことが示され、SEMA3Aがこの時期の腸管神経の発生過程に何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。これらの結果を順次学術集会において報告した。さらに正常とH病腸管神経の発生過程での相違を細胞レベルで検証することを目的に細胞培養技術を導入した。SOX10-VENUS陽性の神経堤由来細胞のみをFACSを用いて選択し、培養を行った。そして、神経堤由来細胞からglia細胞への分化の程度が正常とH病腸管では異なることを明らかにし、その結果を学術論文として発表した。これらの結果により、新しい技術を導入し、H病での腸管神経発生過程の相違について理解を深めることが出来たと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的はH病腸管の病態解明とその治療につながる可能性をもつ神経ガイダンス因子の神経伸長作用機構の理解を深めることである。申請書で計画した通り、腸管神経発生過程でのSEMA3Aの発現を示すことには成功しているが、ほかの神経ガイダンス因子での解析にまでは及んでおらずやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れてはいるが申請書の計画通りに進んでおり、今後も計画に沿って計画を検討中である。本年度は免疫組織染色法を用いたが、RT-PCRやISH法においてもSEMA3Aの発現の検証をすることで、さらに詳細な解析を行う。SEMA3A以外の神経ガイダンス因子の腸管神経発生過程への影響についても明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
小額の残金であり、使用が困難であった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度と同様に計画書通りに使用を行う予定である。
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