前年度から引き続き、腸管神経系が発色するSOX10-VENUS トランスジェニックマウスを用いた。 これまでに検証された神経ガイダンス因子の腸管神経系への関与をさらに明確に解析をするために、この課題内でおこなってきた細胞培養技術を用いて神経ガイダンス因子の添付などを行い、実際に伸長もしくは抑制がおこるのかを正常腸管および病的腸管の有神経部分または無神経部分での変化を時系列に観察をしたいと計画した。しかし、現在われわれが行っている細胞培養系では安定した細胞塊作製には多数の胎児マウス腸管を必要とし、効率的に安定した系で実験を行うことが難しく、難渋した。
われわれは同時に、この細胞培養技術を用いて細胞移植に挑戦した。 胎生15.5日の正常胎児マウスより腸管を採取し、細胞分離を行い培養開始。浮遊培養開始後5日目ころから細胞増殖が開始され、21日後にその細胞塊を胎生15.5日の病的胎児マウスの無神経節腸管部分と共培養を行った。4日後に実体蛍光顕微鏡下で観察を行うと、無神経節部分腸管にSOX10陽性細胞の侵入が見られたため、固定し組織検査での解析を行うこととした。すると、腸管断面でもSSOX10陽性細胞が無神経節腸管壁内に存在している様子が確認された。このことから、病的マウス腸管のうち無神経節腸管部分でも、正常腸管神経細胞が侵入し、生存することがわかった。今後はこの細胞が生着し、神経ネットワークを作製するのか、さらには分化し機能するのかなどを検証していく。
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