現在世界で広く行われている乳房再建術では人工乳房としてシリコンインプラントが使用されているが、異物反応として起こるシリコン周囲の線維性被膜(カプセル)と長期的に起こるカプセル拘縮による高度な乳房変形が問題となっている。近年、間葉系幹細胞(MSC)の培養上清中に含まれる生体因子の抗炎症作用が注目されているが、このMSC培養上清によるシリコンに対する異物反応の抑制効果についてはまだ明らかとなっていない。この細胞を用いないMSC培養上清のみによる極めて簡便な方法で異物反応が抑制できればカプセル拘縮に対する根本的な治療法の開発につながり、社会的な波及効果は大きいと考えられる。
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