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2016 年度 実施状況報告書

炎症性 microRNA が司る皮膚創傷治癒及び生命恒常性維持機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K20361
研究機関長崎大学

研究代表者

田中 克弥  長崎大学, 病院(医学系), 医員 (70722750)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードmiRNA / 炎症 / イメージング / 皮膚創傷治癒 / 好中球
研究実績の概要

平成28年度は、下記の成果を得た。
(1)Staphylococcus aureus(S.aureus)を用いた接触感染による皮膚感染創モデル(水平感染モデル)を確立した。このモデルを用いた肉眼的な創傷治癒解析において、miRNA KO マウスではコントロールと比較して創治癒遅延を認めた。また、miRNA KO マウス由来好中球は、有意に S. aureus 貪食能の低下が認められた。その原因は、miRNA KO 好中球の遊走能の低下が原因と考えられた。
(2)生体イメージング解析装置(IVIS)による in vivo イメージング用いて、皮膚感染創におけるlys-EGFP マウスと、miRNA 遺伝子欠損(KO)マウスとを交配し作製した、 miR KO/lys-EGFP マウスの炎症細胞の動態を解析した。結果、miRNA KO マウスでは、炎症早期の創部への炎症細胞の集積に遅延を認めた。
(3)共焦点顕微鏡を用いた細胞の形態学的・運動機能学的な解析(トラッキング解析)では、miRNA KO マウスから採取した好中球の明らかな形態変化と、遊走能の変化を認めた。また採取した好中球の遊走時におけるSmall GTPase familyタンパクの発現量の明らかな増加を認めた。
(4)ルシフェラーゼアッセイを用いて結合実験を行ったところ、タンパク発現量の増加を認めたsmall GTPase familyがmiRNAのターゲット遺伝子であることが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度は、感染創におけるmiRNAの機能解析を主な目的としていた。具体的には、(1)肉眼的、組織学的な創治癒解析、(2)in vivo イメージング装置を用いた炎症細胞の機能解析、(3)miRNAのターゲット遺伝子の解明である。実績概要に記したように、全体的な研究の流れは予定通りに進行している。今後は、通常の皮膚創傷治癒過程だけでなく、KOマウスのその他の表現系解析を目指す(現在進行中)。以上、これまでの進行状況を考えて、「②概ね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

平成29年度は、作出している種々の遺伝子改変マウスを用いて、皮膚創傷治癒解析、表現系解析、組織学的解析、原因遺伝子の解析を行う。そして実際に、遺伝子改変マウスや臨床サンプルを用いた解析・情報発信を行うことにより、研究成果の応用と問題点の克服を目指したい。

次年度使用額が生じた理由

論文掲載料を支払うために確保していたため。4月20日現在、請求書をまだ受け取っていない。

次年度使用額の使用計画

論文掲載料として支払う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] MiR-142 Is Required for Staphylococcus aureus Clearance at Skin Wound Sites via Small GTPase-Mediated Regulation of the Neutrophil Actin Cytoskeleton2017

    • 著者名/発表者名
      Tanaka K, Kim SE, Yano H, Matsumoto G, Ohuchida R, Ishikura Y, Araki M, Araki K, Park S, Komatsu T, Hayashi H, Ikematsu K, Tanaka K, Hirano A, Martin P, Shimokawa I, Mori R.
    • 雑誌名

      J Invest Dermatol

      巻: 137 ページ: 931-940

    • DOI

      10.1016/j.jid.2016.11.018

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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