平成29年度は3例の頭頸部癌患者からの頸部リンパ節を採取し、培養実験を行った。 採取したリンパ節は破砕、コラゲナーゼ処理、セルストレーナー濾過後に培養した。 1例目では①RPMI 1640培地、②MEM培地、③DMEM培地、④Tリンパ球培養キットの培地 で比較検討した。 顕微鏡でこれらを明視野観察した結果、培地①~③のどれも、5~6 min静置後の沈殿に、よく伸展した接着細胞が多数確認できた。抗体染色されたこれらを蛍光観察した結果、FDCとFRCであることが分かった。④のTリンパ球培養キットはDAPIで血球系細胞の核染色が確認できた。同時にFDCやFRCのような接着性細胞も確認できた。2例目と3例目では①と④の培地で比較検討した。1例目と同様に①では接着性細胞が培養され、④では接着性細胞と血球系細胞の療法が確認できた。培養は18日まで行ったが、④では18日目に細胞の凝集塊が確認できた。また、リンパ節を処理する際に、培地内で細かく破砕した沈殿物には接着性の細胞が多く含まれ、上清内には血球系の細胞が多く含まれていた。 これらの結果から、採取したリンパ節の破片から血球細胞、接着細胞を各々培養することが可能であることが判明した。リンパ節郭清を行った患者に対し、他部位からリンパ節の一部を採取し、人工的に増殖して再移植できる可能性が示唆された。
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