研究課題
本研究は、集中治療室における特殊な感染症、特に低体温療法中に生じる感染症に焦点を当て、すでに我々が樹立している全血PCR法を併用し、これら特殊感染症、低体温療法下に生じる感染症の実態を把握し、有効かつ現実的な早期感染症診断マーカーの確立と治療介入の必要性を検証することを目的としている。平成28年度は低体温療法の合併症として生じる感染症の疫学情報を収集した。具体的な低体温療法は、ガイドラインに従ったCPRにより心拍再開が得られ、心拍再開後のモニタリングと管理がなされたが従命可能な状態に至らなかった症例に対して、ArcticSun 2000 (IMI株式会社、埼玉)などを用いて中枢温を34℃にまで24時間冷却し、以後毎時0.05℃ずつ36度まで復温する方法を用いた。このプロトコルにより約48時間の経過で復温が完了することになるが、この期間に生じる感染症を症例ベースで収集した。また、集中治療室で治療を受ける患者背景に基づく特殊感染症を把握し、個々の症例を中心に報告した。上腸間膜動脈症候群に関連した敗血症様病態、近年増加してきた溶血性連鎖球菌による劇症感染症についてまとめて報告した。さらに、人工呼吸器関連肺炎について詳細に検討し報告した。症例を収集する中で、これらの感染症に生じる血液凝固障害が次第に明らかとなってきた。このため、播種性血管内凝固症候群に注目し、早期診断による効果について検討し報告した。
3: やや遅れている
当院に搬入される心肺停止患者のうち、蘇生後低体温療法を実施できる症例は約20例と見込んでいたが、ガイドラインの改定などもあり、低体温の温度設定を平温(36度)にした症例も多く、当初想定していた症例よりも少ない結果となった。また、デバイスの変更などもあり、プロトコルの修正が必要であった。
平成28年度研究計画をさらに症例数を重ねて検討する。研究結果を総合的に評価し、低体温療法中の抗微生物薬の妥当性について検討する。即ち、抗微生物薬の”予防投与”、バイオマーカー変化時のいわゆる”先制攻撃的治療”、感染が証明されてから介入する、いわゆる ”標的治療”のいずれが良いのかを集積されたデータをもとに検討し、実際に臨床応用する予定である。また、平成28年度の研究成果によって明らかとなった、集中治療室における感染症の特殊性、特に血液凝固障害に焦点をあて検討を加えていく。個々の症例についても詳細に検討し、報告する予定である。
研究に要する消耗品などの物品費が予定していた価格よりも安く購入できたことによる。
翌年度の物品費と併せて使用する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 12件、 謝辞記載あり 5件)
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