研究課題
本研究は、集中治療室における特殊な感染症、特に低体温療法中に生じる感染症に焦点をあて、すでに我々が樹立している全血PCR法を併用し、これら特殊感染症、低体温下に生じる感染症の実態を把握し、有効かつ現実的な早期感染症診断マーカーの確立と治療介入の必要性を検証することを目的としている。平成28年度は低体温症の合併症として生じる感染症の疫学情報を集積したほか、集中治療室で治療を受ける患者背景に基づく特殊感染症を把握し、個々の症例を中心に報告してきた。平成29年度は、これら症例を収集する中で、これらの感染症に生じる血液凝固障害が次第に明らかとなってきたことから、播種性血管内凝固症候群に注目し、早期診断による効果ならびに、早期診断方法についての解析を平成28年度から引き続いて行った。症例が集積されるにつれ、低体温管理下に置いては凝固障害が生じやすい可能性が示唆され、これは併発する感染症により増悪することが明らかとなってきた。体温管理下においては当然ながら感染症発症の際に体温が上昇せず、体温の変化を感染症診断の手がかりにすることはできない。従って、バイオマーカーを中心に感染症発症の有無を検討するわけであるが、基礎疾患によってバイオマーカーは大きく変化するため、これも万能とはいえない。現在、上述の知見を踏まえて、低体温療法管理中の凝固マーカーを中心に検討を加え、低体温下を中心に生じうる感染症の早期診断への有用性と、早期診断による治療効果について検討を加えている。
3: やや遅れている
当院に搬入される心肺停止患者のうち、蘇生後低体温療法が実施できる症例は約20例と見込んでいたが、ガイドラインの改定もあり、低体温の温度設定を平温(36度)にした症例もおおく、当初想定していた症例よりも少ない結果となった。また、研究を進めるにあたり、凝固障害などの新たな知見も得られてきたことから、研究方法の一部見直しが必要であった。
平成29年度の結果を受け、低体温療法管理中の凝固マーカーを中心に検討を加え、低体温下を中心に生じうる感染症の早期診断への有用性と、早期診断による治療効果について検討を加える予定である。また、症例が集積されるにつれ、興味深い知見が得られた症例も散見されることから、これらをまとめていく予定である。
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