研究課題
本研究は、小児の急性脳症および熱性けいれんにおける血液および髄液中のHigh mobility group box 1(HMGB-1)濃度を測定し、体温、けいれん持続時間、解熱方法、合併症、予後の相関を解析し、有熱性のけいれん性疾患で冷却マットを用いた積極的クーリング(以下、平温療法、体温36℃台)が、最小限の合併症で、且つ、有効であることを証明することが目的である。本申請課題は、申請者のこれまでの研究成果である「小児中枢神経系炎症性疾患の病態解析における研究」の発展的研究となるもので、血中・髄液中のHMGB1を測定することで、小児の有熱性のけいれん性疾患の病態解明、発症予防及び治療に対する有効な知見を得ることを目的とする。1998年3月から2016年11月の間に有熱性のけいれん重積ために山口大学医学部附属病院に入院した患児がメインで、今後、本研究に保護者の同意が得られた児に限り、髄液および血清中のHMGB1をELISAキットを用いて測定した。熱性けいれん重積3検体、熱性けいれん重積で平温療法施行者2検体、けいれん重積型急性脳症10検体、けいれん重積型急性脳症で脳低温療法施行者23検体、急性脳症で平温療法施行者4検体で施行した。体温、けいれんの持続時間、解熱方法で有意差は認められなかった。検体数が少ないため、脳低温療法施行者と平温療法施行者で合併症の検討は困難であったが、平温療法施行者は脳低温療法施行者に比し、鎮静によるトラブル(呼吸器系、循環器系)、凝固障害、膵炎、電解質異常、感染症の合併が少ない傾向だった。
3: やや遅れている
以前に比し、脳症の傾向が変遷しつつあり(脳腫脹型、壊死性脳炎はなく、けいれん重積型急性脳症も以前ほどの症例はない、MERSおよび分類不能型が増加の印象)、また同一症例の積み重ねが困難となってきている。
脳症の方にこだわらず、平温療法の合併症の少なさおよび脳低温に比し後遺症の増悪がないことの証明をしていく。
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