本研究は、小児の急性脳症および熱性けいれんにおける血液および髄液中のHigh mobility group box 1(HMGB-1)濃度を測定し、体温、けいれん持続時間、解熱方法、合併症、予後の相関を解析し、有熱性のけいれん性疾患で冷却マットを用いた積極的クーリング(以下、平温療法、体温36℃台)が、最小限の合併症で、且つ、有効であることを証明することが目的である。本申請課題は、申請者のこれまでの研究成果である「小児中枢神経系炎症性疾患の病態解析における研究」の発展的研究となるもので、血中・髄液中のHMGB1を測定することで、小児の有熱性のけいれん性疾患の病態解明、発症予防及び治療に対する有効な知見を得ることを目的とする。前年度までの研究では急性期のHMGB1濃度と熱性けいれん重積、二相性けいれんと遅発性拡散能低下をきたす急性脳症の予後を反映するマーカーとならなかった。低体温療法は急性脳症ガイドラインで、特殊治療としてあげられているが、有効性の有無については議論の余地があるため、研究内容を修正し、低体温療法がAESDに対して有効であるかどうか後方視的に検討した。基礎疾患のある症例を除いたAESD14例に対して低体温療法施行群と非施行群に分け、後遺症の評価を比較検討した。PCPCは両郡で有意差は認められなかったが、てんかん発症の有無については有意差は認められなかったものの、p=0.06であり、症例数を増やし、また慢性期の遠隔期で再度検討する必要性があると考えた。低体温療法と平温療法の2群に分けての検討は、症例数が少なく、統計解析ができなかった。
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