研究実績の概要 |
当科で肝移植を施行した症例の術前血清を用いて既存抗体検査(PRA) を施行し、その臨床的意義を解析した。 PRA検査を施行しLCT検査との結果の整合性を検討した。PRAが陽性であった症例に関してはシングル抗原同定検査まで施行しさらに整合性の比較検討を行った。 (PRA陽性(疑陽性含む),ABOI)=(-, -)、(+, -)、(-, +)、(+, +)の4群の6か月生存率を比較検討した。 【結果】24例中、劇症肝炎1例でLCTが未測定であった。LCT測定23例中、TW陽性は6例(26%)、BW陽性は12例(52%)、BC陽性は19例(82%)であった。PRA測定24例中、Class I陽性は11例(45%)、Class II陽性は7例(29%)であった。TW陽性例中PRA Class I, II陽性はそれぞれ4例(66%)、2例(33%)、BW陽性例中PRA Class I, II陽性はそれぞれ6例(50%)、3例(25%)であった。TW強陽性3例では、PRA Class I, II陽性はそれぞれ3例(100%)、2例(66%)であった。( PRA陽性,ABOI)別症例数は、(-, -)、(+, -)、(-, +)、(+, +)が8、11、4、1例で、各群の6か月生存率はそれぞれ62、81、100、100%であった。 【結語】LCTとPRAの結果には解離があったが、TW強陽性例はPRAも陽性である可能性が示唆された。当院免疫抑制プロトコール下では、(-, -)、(+, -)での成績が(-, +)、(+, +)に比し不良であり、(-, -)、(+, -)での各種工夫が必要と思われた。
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