研究実績の概要 |
尿中L-FABPは急性尿細管障害を反映するマーカーとして知られており、ICUやCCU入室患者の急性腎障害発症予測に有用であると報告されている。 今回、我々は急性期脳梗塞患者の入院時尿中L-FABP値が脳梗塞発症後の急性腎障害発症や3ヶ月後の死亡に影響するか検討した。 2017年1月から2019年12月までに日本医大脳卒中センターに入院した発症24時間以内の急性期脳梗塞患者を前向きに登録した。527症例が登録され入院1週間以内に急性腎障害を発症した頻度は5.1%(27例)であった。急性腎障害を発症した患者は尿中L-FABP値が有意に高値であった(53.8 μg/g Cr vs. 3.9 μg/g Cr, P<0.001)。また尿中L-FABP値は3ヶ月後の死亡とも関連があった( (15.5 μg/g Cr vs. 4.0 μg/g Cr, P<0.001)。 多変量解析では尿中L-FABP値は急性腎障害(Odds ratio [OR] 1.169; 95% confidence interval (CI), 1.083-1.261, P<0.001) および3ヶ月後の死亡(Hazard ratio [HR] 1.072; 95% CI, 1.021-1.126, P=0.005)に関する独立因子であった。 上記研究内容を2020年2月に開催されたInternational Stroke Conferenceで発表を行った。また現在英文原著論文を投稿し、European Journal of Neurology誌より査読が行われreviseの返事が来た。現在論文採択に向けて原稿の修正を行っている。
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