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2017 年度 実績報告書

マイクロ波照射による脳損傷モデルの研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K20404
研究機関日本医科大学

研究代表者

五十嵐 豊  日本医科大学, 医学部, 助教 (50771101)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード頭部外傷 / 脳損傷 / マイクロ波
研究実績の概要

マイクロ波は、携帯電話やオーブンなどの日常生活から医療や軍事まで幅広い分野で用いられて人類にとって欠かすことができないが、人体与える影響は未だ十分に解明されていない。我々は、マイクロ波を定量的に照射強度や照射時間を調整できる再現性の高い新しい脳損傷モデルを作製した。このモデルを用いてマイクロ波照射による脳損傷の病態解明について研究を行っている。
この病態を明らかにするため、生化学的にアプローチを行い、具体的にはメタボロミクスによる解析を行った。メタボロミクスとは、生体内の代謝物質を網羅的に解析することにより、約900の代謝物質について測定し、タンパク質の活性を観察することで生体内の情報を包括的にとらえることができる手法である。
予備実験より、ラットの頭部に3.0kWのマイクロ波を0.1秒照射し、照射後1時間および24時間、またcontrolとして大脳皮質から脳組織を摘出し、メタボローム解析を行った。
グルタミン酸とアスパラギン酸は、controlに比べて1時間後に有意に減少、バリン、ロイシン、イソロイシンは、1時間後に有意に増加を認めた。ATP, CTP, GTP, UTPは、1時間後に有意な減少、尿素も24時間後に有意に減少を認めた。細胞膜の代謝回転を示すグリセロリン脂質は、24時間後に有意な減少を認めた。
高出力のマイクロ波による脳損傷は、局所脳損傷のモデルと多くの共通する生化学的特徴を認めた。しかし、神経細胞損傷を示すN-アセチルアスパラギン酸、酸化的ストレスを示すアスコルビン酸、嫌気代謝を示す乳酸は、局所脳損傷では変化を認めるが、マイクロ波による脳損傷では有意な差を認めなかった。すなわち、マイクロ波による脳損傷は、局所脳損傷と異なる新たな病態と考えられる。今後はさらなる病態の解明や治療法の検討が期待される。

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公開日: 2018-12-17  

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