研究課題
顎口腔領域はヒトが生きていくのに非常に重要な機能(咀嚼、嚥下、会話、審美)を持っている。顎口腔領域の疾患によりそれらの機能が喪失された場合にはQOLが非常に低下することが考えられる。顎口腔機能を保持するための重要な器官としては「骨」があり、それら機能の中枢を司っている。それゆえ骨が喪失し、機能を失った場合にそれらを回復させることを研究することは非常に重要なことである。本研究の目的は骨という器官の環境を理解し、いかに回復させるかもしくは新生させるかを臨床的な観点だけではなく基礎的な観点からも考慮することである。臨床の現場では喪失した骨は自家骨もしくは人工的な補填剤を利用することが多い。その場合には侵襲や有害事象の発症に関して考慮しなければならないが、質的にも量的にも良い骨を回復もしくは新生させるかは今も大きな課題である。骨環境には主に3種の役者があり、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞である。実際の生体ではこれら3種が複雑なネットワークを形成し、骨代謝が行われている。どれか一つだけ取り出してのin vitro研究には意味がなく、骨代謝ネットワークを理解するには生体側での研究が必要である。なかでも骨細胞は骨環境では一番多く存在し、その機能はあまり知られていないので現状である。本研究では骨細胞に着目し、骨代謝への関わりを探求し、実際の臨床に応用することが目的であった。顎口腔領域の疾患により損失した骨は数回の外科的処置を繰り返すことにより本来持つ骨形態の回復に有効であることがわかった。ただし、そのためにはどの役者でどのような因子が関わっているのかを基礎的な観点から検索する必要がある。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 31 ページ: 121-125
doi.org/10.1016/j.ajoms.2018.11.001
日本口腔外科学会雑誌
巻: 64 ページ: 347-34