口腔扁平上皮癌における癌微小環境が腫瘍の進展に及ぼす役割を研究して、以下の結果が得られた。(1)癌関連線維芽細胞の出現は、「腫瘍の浸潤深さ」と患者の生命予後との間に有意な関連を示したが、「リンパ管侵襲」や「リンパ管密度」、「リンパ節転移」との間には有意な関連は認められなかった。(2)癌細胞により刺激された癌関連線維芽細胞が発現するLIFが、癌細胞に作用して、その浸潤を促進している。(3)CD163陽性腫瘍関連マクロファージが産生するVEGF-Cが、リンパ管新生を促進し、その結果頸部リンパ節転移に寄与している。以上の結果から、口腔癌における新たな治療ターゲットとしての癌間質の重要性が示された。
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