Aggregatibacter actinomycetemcomitansは侵襲性歯周炎の発症に関与する口腔細菌で、外毒素であるロイコトキシン(LtxA)を産生する。LtxA高生産株(JP2株)により重篤な症状が引き起こされることから、LtxAの性質とその病原性の関連性の解析を行った。これまでに、TLR4欠損マウス由来の骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系でLtxAが破骨細胞の分化に影響することを示してきた。本年度はマウス由来の骨髄マクロファージを調整し、濃度依存的にLtxを添加し破骨細胞への分化を評価した。しかし、本実験系ではマクロファージからの分化が確認できず、逆に細胞数が減少する結果となった。このことからLtxA単独でマクロファージから破骨細胞への分化能がないことが示唆された。また、ロイコトキシンの配列による細胞への影響を評価するために、JP2以外の株からのLtxAの精製を試みた。Y4株からの精度の高いロイコトキシンの精製には成功したが、量が少なく細胞実験には用いられなかった。そこで、異種発現系の構築のためのコンストラクト作成を行っている。一方、LtxAの高次構造解析に向けて、タンパク質の精製を行った。LtxAが3つのドメインからなっているため、ドメイン毎の精製を行うための発現系の構築を行った。昨年度カルシウムが構造安定性に関与することが示されていたので、カルシウム存在下で精製を行った。現在、結晶化条件の検討を行っている。
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